トランスフォーマー/リベンジ

地球規模で繰り広げる巨大ロボットたちのヤクザ抗争を軸に、友情、恋愛、家族愛をがっつり詰め込んだ、まさしくエンターテインメントな作品。前作は内容がアレ過ぎてサッパリ記憶に残っていないが、お馬鹿を突き抜けたトンデモ映画として、それを大きく凌駕しているはずだ。

物語は前作から2年後。オールスパーク抗争を勝ち抜いたオプティマス率いるオートボット(善玉軍団)は、人類(というか米政府)と協力して新たな部隊を組織。ディセプティコン(悪玉軍団)の残党狩りに勤しんでいた。米軍の一組織であるはずのオプティマスたちは、人類の都合など知らんと言わんばかりのご活躍ぶりで、冒頭から1体のディセプティコンを追い上海に上陸。ロボ生命体の存在は隠匿されているはずなのに街中で堂々とドンパチを初めてしまい、目標のディセプティコンは「ザ・フォールン様は蘇る」と言葉を残し息絶える。

そんな新たな危機が予感される中、米政府内から部隊の存在に異議を唱え、大統領命令を受けてまで作戦を妨害してくるものが現れる。そりゃあ、その気になれば世界を征服できそうな破壊力を擁する部隊が、よりにもよって中国に上陸しちゃったんだ。お役人たちの事後処理は、かなり骨の折れる仕事だったろう。気持ちが分からんでもない。

一方その頃、人間側の主人公ことサム・ウィトウィッキーも2年間を経てちょっぴり大人に近づき、大学進学に伴い両親と暮らす家を出ることに。普通であれば、ここで息子の成長と門出を祝福しつつも別れを惜しむ家族愛を描いておきたいところ。だがそこはマイケル・ベイ監督、ナンセンスな下ネタ要素をふんだんに散りばめてくれている。極め付けは本作のヒロインことミカエラ・ベインズ。こちらも2年間を経て大人になったうえ、セックスアピールガンガンな演出だ。明日の日曜日にお子様をお連れの方は、この辺りでキャラメルソースたっぷりのポップコーンなどを与え、映画に集中させないようにした方が良いかもしれない。そのうち、まだ大学に行ってもいないのに学園ラブコメのラストシーンへと展開していくので、それまでの辛抱だ。

本作の冒頭はここまで、ロボ側と人間側それぞれの現状を描いた親切設計だ。前作の内容を覚えてない僕でも、主人公とその味方、そして悪役の区別くらいはできた。

注目したいのは、前作に引き続き精巧でリアルなロボットたちのCG表現だ。同行した友人が「こんな細かい構造してたら汎用としてはマズくない?」と言う通り、戦闘中に瓦礫がジョイントに挟まったり、砂がオイルに紛れたりしたら命取りだろう。そんな精巧な作りの巨大ロボが高速の取っ組み合いを始めると、もうスクリーン上は何が何だか分からなくなる。中学生時代に卓球で鍛えた僕の動体視力をもってしても太刀打ちできなかった。

あとはバンブルビーが可愛いよ。頻繁に舞台が切り替わり、次々と登場するロボは個体認識をするだけで精一杯。出てきてすぐ殺される者までいるので、名前を覚えているキャラ自体が少ないのだけどね。

というわけで、マイケル・ベイ監督のぶっ飛ばしぶりを笑って観られる方には、今夏イチオシの映画だ。