元広告業から見た『はてな』 - ユーザーデータ編 -

前回の媒体規模編から随分と間が空いてしまった。今回ははてなのユーザーデータを見いく。

資料

はてなのユーザー属性

男女比は6:4

女性を意識したサービスでも無い限り、どこのサービスも同じようなもの。ちなみに、はてなプロフィールのデータを集計しているはてなジェンダーでも近い数値が出ている。

居住地域は関東が約半数

こちらも地域ローカルなサービスでもない限り、どこのサービスも同じような結果になる。

30代>50歳〜>40代>20代>10代

「20〜49歳中心」って書いてあるけど、注目すべきは50歳以上が23%もいること。30代以下の割合が大きいネット広告媒体はたくさんあるが、40代以上が40%を超えているのはちょっと貴重だったりする*3。40代以上は企業の中である程度の決裁権を持つ可能性が高いので、BtoBサービスの訴求効果が期待できるからだ。また収入も相対的に高い傾向があるので、高額でも良いサービスにはお金を出してくれる可能性がある。

はてなユーザー世帯年収は高い? 低い?

世帯年収700万円以上は43%、700万円未満は45%なので、はてな内では700万円弱が世帯年収の中央値だと思われる。前職は年収300万円ほどであった20代の僕から見ると、はてなは富裕層向けサービスでもない割には世帯年収が高い人が多い気がする。だけど先ほど見たデータで、はてなユーザーの44%が40代以上であったを考えれば、このくらいが普通なのかもしれない。

ここでちょっと古いデータになるが、2008年10〜12月版の媒体資料には既婚者が72%、子供のいる既婚者が64%とある。現在の正確な未既婚率は分からないけど、今もはてなユーザーの大半が既婚の子持ちであるとして、各省庁の統計と世帯年収を比べてみる。

まず年齢だけで見た場合、国税庁の民間給与の実態調査結果(平成19年)では35〜39歳の男性の平均給与は560万円、同年代の女性が296万円で合計すると856万円になる。そして子供のいる世帯を見た場合、厚生労働省の平成19年国民生活基礎調査では、平成18年の児童のいる世帯の平均所得は701万円だった。どちらの側面から比べても、はてなユーザー世帯年収は高いとは言えない。

30代以上で、多少お金を持っていて、社会的地位のある人に広告を配信したいのなら、内容にもよるけどロイターNIKKEI NET辺りが妥当だと思う。

勤め先はIT企業

さすがはてな。IT・通信・製造で半数を超えている。

勤め人のほぼ半数がエンジニア

やっぱりはてな。エンジニアだけで45%。

じゃあ勤め人じゃない人は?

http://f.hatena.ne.jp/sak_hat/20090402002237

ところで、上ふたつのグラフのタイトルが「勤務先〜」なのが気になる。2008年10〜12月版の媒体資料を確認すると、職業別のデータがあった。どうやらはてなには主婦も多くいるようだ。

はてなのドコに主婦なんているんだ?」と思う人は、試しに『子育て』などのキーワードではてなダイアリー内を検索してみてほしい。はてな主婦ブロガーが結構いらっしゃる。しかも、ちゃんとはてな主婦ブロガーのコミュニティが形成されていて、コミュニケーションにはコメント欄とはてなスターが活用されている。互いのエントリをはてなブックマークに登録することは無いようだ。主婦ユーザーがはてな内でもあまり知られていないのは、このためだろう。

しかしまあ、はてな主婦ブロガーのみなさんの交流の様子を見ていると、まなめさんのこのPOSTの意味が良く分かる。

データから見えてくるはてなのユーザー像

以上のユーザーデータを踏まえて、はてなのユーザー像はこんな感じ。

住居 関東圏
年齢 30代
世帯年収 700万円弱
業種 IT・通信・製造 主婦業
職種 エンジニア 主婦
またその他に予想として
  • 既婚。子供あり。(過去のデータから)
  • BtoBサービス導入の決定権/発言権を持つ。(年代のデータから)
さらに僕の主観も入りまくったイメージとして
  • 肩こり・腰痛持ちが多い?*4うつになりやすい?*5(職種のデータから)
  • PCをはじめデジタル機器、ガジェットが好き。(でも消費行動はひかえめかも)
  • 特定の物事に強い興味と知識を持っている。(とんがった嗜好を持つユーザーの言動が目立つだけかも)
  • 個人消費の判断材料として、貼り付け広告よりはブロガーなどのCGMの意見を重視する。(広告的なものは疑う)

まだ資料には見えていないはてなユーザー

ここまで見てきたはてなのユーザーデータは、広告枠を販売するための資料に載っているものだ。つまり、今現在はてなが広告枠を通常販売している範囲のデータだ。通常の広告枠がリリースされていない「うごメモはてな」や「はてなハイク」には、まだどのようなユーザーがいるのか資料で見ることはできない。

はてなハイクトップページを眺めてみると、はてなブックマークはてなダイアリーで良く目にするユーザーとは全く違う顔ぶれだ。一部では殺伐とした雰囲気を醸し出しているおかげで、何だか怖いイメージを持たれているはてなとは程遠く“のほほん”としている。うごメモはてなニンテンドーDSiをフックにすることで、これまでで一番遠いところにいたユーザーにアプローチしている。小学生が作者ランキングにランクインしているくらいだ。

はてながインタビューなどで言っている通り、多くの人に使ってもらえるサービスを意識しているのか、それともそれぞれが勝手に作りたいものを作り続けるのか、僕ははてなの営業の方にしか会ったことが無いので実際のところは分からない。しかし、これまでのはてなの一般的なイメージとは違ったユーザーが、既存からも含めて表に出てきていることは確かだ。

はてなハイクから入ったユーザーや、ニンテンドーDSiでしかうごメモを見ていないユーザーが、どうしたら他のサービスも活用してくれるかという問題もあるけれど、それもはてなの考え方次第。それぞれをある程度独立したサービスとして、きっちりやっていくならそれもアリだ。そこが今のところはっきりしないのがはてななんだけどね。

>>続く*6かも

補足

媒体資料より引用した画像について

「*」が付いている項目ははてな社調べ(2008年12月)、「**」が付いている項目はNielsen//NetRatings調べ(2008年9月)です。