昨日生まれた言葉には、明日には3つの意味がある

新しい言葉が生まれても、その言葉の意味が定義されるまで時間がかかるもの。昔はマスコミと出版がその役目を担っていたのだろうけど、誰でも好きに語れる今の時代になると、言葉の定義には更に時間がかかる。時間がかかり過ぎて曖昧なままの言葉も多いんじゃないかな。WEB2.0とかツンデレとか。それで最近生まれた「草食系男子」。僕はその意味を「不必要に背負わない男性」だと思っていた。

昔の男性は色んなものを背負うのがステイタスだった。分かりやすいとこだと舞妓の水揚げ。男性が気に入った舞妓の旦那さんになって、着物から生活費まで面倒を見るスポンサーになるやつ。旦那さんは物凄いお金がかかるので、甲斐性や財力をアピールできるわけだ。

ところが今は何事もエコな時代で、下手に甲斐性や財力をアピールすると世間に反感を買ってしまうらしい。まあ今は男女平等の時代でもあるので、女性が女性らしさを押し付けられないのと同様、男性も男性らしさを押し付けられることは無いので気にしなくて良いのだろうと思う。

「でもさーうちらとしては『男はオオカミ!』だと思って育ってきたわけで、いきなりここにてき草食とか言われても困るよね」「大体どうしてこっちが『どうやってホテルに連れ込むか』とか考えなきゃいけないわけ?」「昔の男の子が女の子に『オレンジジュースだよー』てゆってスクリュードライバー飲ませて潰そうとした気持ちがわかるよね」

悲しい女の会〜草食系男子とかなんなの?ばかなの?死ぬの? - カリントボンボン

恋愛(セックス)に消極的な男の否定的な呼称は「朴念仁」やら「根性なし」から「ヘタレ」「(アニメ)オタク」を経て「草食系男子」に言い換えられようとしているっぽい。

草食系男子って口にして恥ずかしくないの? - うるち随筆

引用させていただいたエントリを見ると、前者は「男女交際や性交渉に消極的な男性」を、後者は「いわゆるダメ人間*1」を草食系男子と呼んでいるように見える。そしてどちらも僕が思っていた意味と違う上、前者は過去エントリを見ていくと特定の男性を指しているように思える。

生まれたばかりの曖昧な言葉は、使う人の都合や理想を押し付けられるものなのか。重要なのはどの意味が相応しいのかではない。流行り廃りとは言え、不安定な言葉を使うのは案外怖いことなのかもしれない。

*1:オタク=ダメ人間とは思いないけど、ヘタレや根性なしと並列に扱われているので