手持ち花火

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何年かぶりに手持ち花火のセットを買ったのだけども、火薬の詰まってる部分が僕の記憶している花火より短かった。しかも火薬が詰まってると思っていた部分の3分の1くらいは、見た目だけで火薬が入っていない。

手持ち花火には、もちろん打ち上げ花火みたいなスペクタクルは無いし、ヤキソバ作りに来るオッチャンもいない。実家ぐらしの独り身にとって、手持ち花火セットは完全に自己満足だ。飛び散る火花を見ながら感傷に浸っていたいのだ。一本の花火が燃え尽きるまでの間に、可能性としてあるであろう人生のひとつを投影していくわけです。

それなのに、頼みの綱としては細く頼りない姿がいかにも情緒を掻き立てるはずの線香花火に至っては、「牡丹→松葉→柳→散り菊」の行程を終えることなく玉が落ちていく。線香花火に投影したそれぞれの人生が、みな松葉の辺りで落ちていくのです。