ハーバル与太大系

所変われば品変わる。4ヶ月前に実家へ戻った僕は、変わる品を自分で選ぶのも気分転換になって良かろうと思い、愛用シャンプーを変えた。当時

のCMで一世を風靡。全国の小学生が水泳前の着替タイムにゴム付バスタオルを頭に付け「イエス! イエス! イエース!!!」とマネを始め、

の遺伝子ここにありと我々に知らしめた『ハーバルエッセンス』である。

このCMの放映開始から半年と経たず、小学生たちは所構わずゴム付きバスタオルを頭に付けるに至り社会問題となったが、「首にかかるタオルの重さが健康に良い」と言いふらした自称専門家を皮切りに全国的に普及。ゴム付きバスタオルはコンビニでいつでも手に入るようになり、銀座を闊歩するマダムたちまで今治のゴム付きバスタオルを求める『第二のフラフープブーム』となった。

このころ、CMの女性モデルのような容姿を目標とする『ハーバル系男子』と呼ばれる男性たちが現れ、その呼び名を好しとしない彼らは、自らを『男の娘(おとこのこ)』と呼んだ。同時期に出版された『ハーバる力』は、世間の向かい風を受けつつも市民権を得てきたハーバル系男子たちの、これまでの日本人には無かった生き方を伝える名著である。

後にこの本の著者は『結局、女はヴィダルが勝ち』を書き上げたが、ファルシのルシばりの自分語トリックに加え、「そもそもそこはお前の土俵じゃないだろ」と散々な言われようであった。が、一連のハーバル現象の生みの親となったCMモデルに取って代わろうという思いか、この人物がCMと同じ土俵である公共の電波で自分の肌を晒してみせたのは記憶に新しい。これにより獲得した新たなファンに向けた最後の打ち上げ花火が、世間も忘れそうになっていたミュージシャンや、WEB最初期を代表する人物とのコラボレーションであった。このころには話題の中心にハーバルエッセンスの影も無くなり、世間の注目は『TSUBAKI』という新たな香りを放つ黒髪へと移っていた。

僕はそんなハーバルエッセンスに敬意を持って(だが家人の手前、心の中だけで)「イエス! イエス! イエース!!!」と風呂場で吠えるのである。